日々の献立とサーバ命名は似ている

「今日の献立は何にしようかしら」という主婦が持つ共通の悩みは、飯を食う立場から見れば「別に何でもいいよ」とそっけなく答えそうなものだが、主婦の立場からすれば「あなたも考えてよ!」と叫びたくなるほど面倒なものである。


その気持ちは、数ヶ月に一回ではあるけれど、私にも痛いほど分かる。献立を考える立場ではないんだけれど、それに似たようなものを抱えているからである。

「今回作るサーバの名前は何にしようかしら」これはネットワーク管理者が持つ共通の悩みであり、ネットワークインフラを使うだけの方々から見れば「別に何でもいいよ」とそっけなく言われてしまうのだが、管理者である私の立場から言えば「お前も考えろよ!」と叫びたくなるほど面倒なものなのである。


現在ネットワークの再構築に伴って新しいメールサーバを作っているのですが、そのサーバ名が思いつかない。別に何でもいいんですけどね。それでも何かに名前を付けるというのは、主婦が飯を作るのと同じくらい崇高な行為であり、手を抜くと後々に響くのです。うーん、どうしよ、新メールサーバの名前。



これまで研究室のネットワークを7年近く見てきましたが、その中で印象的なサーバ名ってあるんですよね。そういうのは大概、以下の要件を満たしている気がする。

  • 簡素な名前である
  • 詩的な響きがある
  • 機能と深い関連がある

例えばこれまでのサーバ名の中で一番気に入っているのは「etude」というサーバです。当時ゼミ生がLinuxに慣れるための練習用Linuxサーバが必要でした。そこで当時の後輩くんが名付けてくれました。音楽の練習曲という意味ですね。

うちの研究室は CreativeWorkspace, 略して crew と名乗っているので、サーバ名にも「クルーが乗っているもの」「海」「船」などに関連が深いものを付けるという慣例があります。

後輩から「etudeと言う名前はどうか」と言われたときに、船のへりに腰掛けて楽器(横笛とリュート)の練習をしている少年少女の情景が目に浮かんで、一発で採用したのを覚えています。そういう色んなイメージを与えてくれる名前は素晴らしいのです。


次に気に入っているのが、ファイルサーバに名付けられた「noa」です。ファイルサーバなので、研究資産が何でもかんでも詰まっているので、「ノアの方舟」のイメージも手伝って気に入っています。サーバが落ちたときの「ノアが沈没したっ!!」という叫び声も嫌いじゃないし。

ルータに名付けた「aegis」もお気に入り。ギリシャ神話でゼウスがアテナに与えた、全ての悪を振り払う盾の名称です。aegisは研究室に襲いかかる様々な害悪を(ファイアウォールなどで)振り払う役目を負っています。


というわけで、何か新メールサーバに付ける良い名前はないものか。「そんなのどうでもいいじゃないっすか」と言われそうなのですが、まあどうでもいいのかもしれないけど、それでもどうでも良くないんですよ。

日々の献立を考える主婦の方だったら分かってくれそうな気が(笑)。お母さんが子供や夫に愛情を注いだご飯を作りたいのと同じで、私も使用者に愛されながら使われるネットワークを作ってあげたいのです。「親の心、子知らず」な要素があるところも同じかも知れませんが。なんちって。