時をかける少女(原田知世版)

…と舌の根も乾かないうちに、映画を見る。現在公開中の作品ではなく、20年前に公開された原田知世主演の映画である。

作中では原田知世タイムリープしているのですが、むしろ観客である私が1983年の公開当時の時代にタイムリープしたような錯覚に陥りました。



例えば体育シーンでは原田知世がブルマを履いていてちょっと焦ってしまった。当時はブルマが普通だったんですけどね。でも落ち着いて映像をみれば「ガキが足見せてるだけじゃねーか」の一言ですけど。

放課後シーンでは弓道部が部活動をやるのだが、グラウンドのど真ん中に畳をしいて、グラウンドの端に的を置いて矢を射る。そして的の向こうでは下校する生徒がスタスタ歩いている。矢が生徒にあたりゃせんのかと、見ているこっちが別の意味でハラハラしました。当時は普通だったのだろうか。

自宅のシーンでは最近見なくなった、布がかけられた鏡台が置いてあり、原田知世が朝出かける前に布をペラっとのけて身だしなみを整える。壁には日めくりカレンダーがかけてあり、朝はそれを1枚べりっと剥がす。別のシーンでは男友達がパジャマを取り出すときに、行李(こうり)から服を取り出す。また友人を部屋に招くときに「おはいりよ」という言葉を使う。

何よりも不思議だったのが原田知世の私服姿。近所に出かけるときに可愛いスカートを履いているのに、足はゲタをからころと鳴らしながら歩く。21世紀の未来人である私には不自然極まりないのですが、当時はアリだったのでしょうか。

冒頭のシーンでは、掃除当番である原田知世に理科準備室の鍵が渡されます。不思議な顔をしていると「最近、薬品に手を出すヤツがいるから鍵をかけるようになったんだって」と友人が説明するのだが、つまりそれまでは鍵がかかっていなかったというわけで。防犯意識をどこに置いてきた。

最後のシーンで未来人であることを告白した男が、原田知世に「この時代の人はみんなのんびりしていて、優しくて、暖かい人たちばかりで…」と話すのですが、21世紀の未来人をやっている私は激しく首肯。お前ら、のんびりしすぎです。


この映画公開当時から20年しか経っていないのに、まあ時の流れは早いこと。というわけで時をかけたのは少女ではなく、観客ではないかと思う映画でした。



肝心の中身は…えーと、そのぅ…原田知世を含む男女3人組のあまりの大根芝居にびっくり。

舞台となった尾道の風景は美しかった。そういえばアニメ「かみちゅ!」も尾道の美しさを描いている作品ですね。あの坂だらけの地形、一度見てみたいなぁ。