wiiの可能性
夜に後輩gackt君と一緒に wii をいじって遊びました。「はじめてのwii」や「wiiスポーツ」も遊びましたが、それ以上に興味深いのが wii が持つゲーム以外の機能です。
「お天気チャンネル」「ニュースチャンネル」「写真チャンネル」などを触っていると、任天堂が wii で実現したいことが垣間見えます。
1つは「誰もがゲームを楽しむようになって欲しい」という願いでしょう。wii コントローラーはその願いを端的に表していますが、実はもうひとつ斬新なのが mii という機能です。wii では mii と呼ばれるキャラクターを作ることが出来て、wii スポーツやはじめての wii ではその mii というキャラクタがゲームに登場する仕組みになっています。
私が wii を自宅に置いてゼルダを楽しんでいたときは、この mii という仕組みが何のためにあるのかさっぱり分かりませんでした。一応自分の mii は作ったのですが、ほとんど活用されず。
ところが wii を研究室に2日間置いただけで、「お!何かキャラクターが作れるらしいぞ!」と誰かが言いだし、まずは「turkeyさん、これ全然 turkey さんっぽくないっすよ!」と私の顔が書き換えられました(もちろん私は怒りましたが、意見は通らずw)。そして研究室の主要メンバー全員の mii が瞬く間に出来上がりました。
そうすると「wii スポーツ」が途端に面白くなります。例えば私と後輩gackt君が二人プレーで野球を遊ぶ場合、プレーヤー以外に16人のキャラクターが必要になるわけですが、作成したmiiの中からランダムで16人が選ばれて、それぞれのチームを構成するわけです。
だから私が一打逆転のチャンスでカキーンと打ち、それを後輩mariさんのmiiがファインプレーを見せて防いでしまうということがあります。その後、後輩gackt君に負けた私が恨めしい顔でたまたま後輩mariさんの目の前を通って「…後輩mariさんが余計なことをしなければ俺が勝ってたのに…」とつぶやき、後輩mariさんに「知りませんよ!」と言われてしまうわけですね。
mii が面白いのは、コントローラーを握っていない人でも楽しむことが出来ることです。上の例の後輩mariさんの場合はそもそもゲーム機の前にすらいなかったのに、ゲームに関する会話に参加してしまう。
研究室の wii には、私の担当教授の mii も登録されています(これが似てるのですよ)。もちろん教授は今までゲームにはほとんど興味を持ったことがないのですが、何かの機会にバットを振っている教授の mii を見たら、きっと笑ってくれると期待しているのです。
wii は「誰もがゲームをプレーできるようになって欲しい」がコンセプトなのかというと、ちょっと違う気がします。むしろプレーしなくても、見ているだけで楽しむための仕組みが盛りだくさんだと思います。「誰もがゲームを楽しめるようになって欲しい」の方が正確かも知れません。
もう1つの任天堂の願いは、「誰もがネットワークを楽しめるようになって欲しい」なのかもしれません。
wii はネット接続の設定をすると、「お天気チャンネル」「ニュースチャンネル」が使えるようになります。wiiでお天気情報やニュースが見られるわけです。
そんなのPCでいくらでも見られるじゃないかと言うと、さにあらず。任天堂の願いの力点は「誰もが」ネットワークを楽しめる、というところじゃないでしょうか。PCがあるとはいえまだまだ操作には習熟が必要です。若い我々ならば簡単ですが、中高年には(使いこなしている人は存在しますが)まだまだ難しいです。
ところが wii を使えば、日本人全員がネットワークを通してお天気やニュースにアクセスできます。これは凄いことだと思う。半世紀前にテレビが登場したことで日本人全員がマスメディアに接するようになりましたが、wii の登場により日本人全員がインターネットに接するようになるのかもしれません。
wiiが提供した「簡素なインターフェース」の強みは、今後どんどん影響力を増すような気がします。今は「天気」「ニュース」しかありませんが、wii のチャンネルは今後どんどん増えていくと思われますから、楽しみであります。
20年ほど前にログインというPC雑誌に掲載されていた漫画で、マニアがMacを使ってパソコン通信をしながら「ネットワークにつながっていないパソコンなんて、ただの箱だ」と言っているコマが載っていました。
当時は何とも思わなかったのですが、今でも覚えていると言うことは何か直感に訴えかけるパワーを持った言葉だったのでしょう。現実にその後インターネットが登場して、我々若い世代はその言葉が持つ意味を理解するようになりました。wii はさらに幅広い世代に対して、その言葉の意味を伝播させるのかも知れません。
まあ、そうなると、今度は任天堂がいささか権力を持ちすぎやしないかという心配が出てきますね。チャンネルを自由に設置・廃止できれば、メディアの独占につながります。あとは wii 上での通貨である wii ポイントがネット上の貨幣として力を持ってしまうのも恐い。そうすれば任天堂は「ネットメディア」と「ネット貨幣」を支配する巨大企業になる可能性も秘めているわけです。…まあ、これは仮定に仮定を重ねた飛躍ですな。