田中ロミオの新刊が面白すぎる件について

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

とんでもないラノベである。ネタバレにならないように注意して書くと・・・。

・・・書けないや。もう私の感想そのものがネタバレになりそうだし。

最初の100ページくらいは、ちょっと退屈で読みづらいです。特に序章であるところの最初の数ページが、全編の中で一番読みづらい。オタク臭が漂って、「何だこりゃ?」と言いながら放り投げるような酷い文章です。オタクの痛々しい世界観なんか読みたくないですし。

ところが後半から加速していく物語は、痛々しさが哀しみに変わり、哀しみが怒りに変わり、怒りが主人公のがむしゃらな変身を生んで、最後は世界そのものを変えてしまう。物語の状態遷移がとても鮮明で、正直グッと来ました。物語終盤の加速度と一点へ収束していく感覚は素晴らしいの一言。最後の後日談による笑いとお祭り騒ぎも、エンターテイメントとして一級品。



いやー、楽しませてもらいました。田中ロミオは「人類は衰退しました」も可愛くて良いけれど、こっちの方がジュブナイル的で面白かった。