本日の小説
今日も江戸川乱歩の怪しい世界を楽しんでおります。濃縮100%大変態の江戸川乱歩もいいけど、たまには薄いのもいい。
([え]2-1)怪人二十面相 江戸川乱歩・少年探偵1 (ポプラ文庫クラシック)
- 作者: 江戸川乱歩,平井憲太郎
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2008/11/18
- メディア: 文庫
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少年探偵団シリーズの原作が発行されたのは昭和39年。私も生まれていない大昔なので、古めかしい描写が多いです。
古めかしい例は色々挙げられるんだけど、一番は食事シーンでしょう。「大金塊」と「怪人二十面相」ではいずれも小林少年が賊に囚われて食事を差し入れられるシーンがあるんだけど、そのメニューがなんとも。
それから、もう一度おりてきたときには、その中に湯気のたっているおにぎりが三つと、ハムと、なま卵と、お茶のびんとが、ならべてありました。とりこの身分にしては、なかなかのごちそうです。
(怪人二十面相より)
・・・・・・虜の身分ってことはあるにしても・・・それって、ごちそう?
小林君は男のはこんでくれた夕ごはんを、おいしそうにたべはじめました。なかなかごちそうです。大きなチキンのフライに、トマトがどっさりついていて、ごはんがおさらに山もり、それに紅茶までそえてあるのです。小林君は、そのごちそうを、またたくまにすっかりたいらげてしまいました。
(大金塊より)
・・・・・・紅茶が添えられていることって、特別なの・・・?
ハムとか紅茶というのは、食べられないものじゃないけど、でもちょっとしたご馳走だったのかな。何にせよその時代から40年余り。日本は豊かになったんだなぁ・・・としみじみ思う。厚労省次官殺人事件が起こったときに「これは政治テロか?226事件の時代がまた来るのか?」という意見が流れていたようですけど、ご飯が満足に食べられなかった昭和のあの時代だったからこそテロも起きるわけで、お腹いっぱい食べていられる今の日本人がいくら政治に不満があるからと言って、大規模な政治テロを起こすとは思えないんだけどなぁ・・・、などと考えてみたりする。
というわけで昭和の戦前の大変な時代と、戦後の豊かになり始めた二十面相の時代に思いを馳せながらごはんを食べました。今日のお昼ご飯は湘南台駅前の八田にて、サンマの天ぷらとネギトロ丼定食。これですらご馳走ではなくて普通の昼飯(値段は787円)だっていうんだから、2008年というのは凄い時代だ。とても美味しゅうございました。先人の努力に感謝して、後人のために頑張ります。前人木を植えて後人涼を得る。